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2017.12.10 Sun

もり氏

「モノが売れないなら、コトを売れ。」

「モノが売れなくなった。コトを売れ。」とアパレル業界で言われるようになって久しい。

要するに、機能性だったり素材感だったりといったモノの提案では消費者が商品を買わなくなってきているので、それを使って何をするか、というコト(経験)を提案しなさい、ということです。

いわゆるBtoBの世界では当たり前のように言われてきた「それを得ることによる期待効果をしっかりと提案すること」が、アパレルといった情緒性ビジネスの世界にも求められているのです。

逆に言えば、期待効果の提案が無い商品は世の中に溢れかえっており、見た目をそれなりにしたいだけなら、安価に揃えることが可能なのです。

それは一見、ビジネスの戦術的な話に聞こえますが、実は、根本だったりします。

コトを売ることを意識する事で得られる副次的なメリットは実は二点あります。

1)利用シーンを最大限に絞り混むことで、商品の完成度が高まる。
2)絞り込みにより生み出された機能/仕様が、時に機能を超えて、デザインになる。

1)は日本の企業が苦手なところですね。会議で生み出される最大公約数的なプロダクトデザインは帯に短し襷に長し、大多数を満足させることができても、熱狂的なファンは生まれません。

誰かの強いこだわり、自分が使う時はこうだ、という細部への拘りがある一定の閾値を超えると、熱狂的なファンが生まれることがあり、そこから更に作り込みが進むと、商品全体からオーラが出る、ということがあるのです。iPhoneがまさにそうでしょうか。神は細部に宿る、とはよく言ったものです。

そして2)について。

今は取り扱いをやめてしまったバッグブランドで、デザイナーの方がテニスをやるので、テニスに行く時に便利なバッグ、というのがありました。

底部には履き替え用の靴が収容される防水ポケットがあり、フロントにはテニスラケットが収容できるテニスラケットポケット。その他、テニスに行く時に必要と思われる様々な機能が付属されていました。トートと言うには、丸すぎるそのフォルム。

通常であればニッチな層にしか売れないはずのこのバッグ、爆発的に売れました。勿論テニスをやらない人にも売れました。僕自身もこのバッグを持っていましたが、便利すぎて一時期このバッグばかり使っていました。テニスラケットを収容したことは、一度もありませんでしたが・・・。

これはテニス競技者向けに徹底的にこだわって作った機能が、本来の目的とは違う使い方で重宝され、またその独特のデザインが、逆にバッグデザインとして評価された、というわかりやすい例です。

M65ジャケット、パラシュートパンツ、ライダースジャケットなど、今は普通に洋服のカテゴリとして誰からも違和感なく捕らえられていますが、元々はミリタリーであったり、バイク向けに作られた洋服です。これも同様に機能がデザインとして昇華した例と言えます。

さて、なにが言いたいかというと、僕らもTOKYO Wheelsオリジナルでこういう物を生み出したいな、と思っているということです。

TOKYO Wheelsのオリジナルは10mCw=10 miles Cyclewear(10マイルを快適に乗ることができる服)というコンセプトを持つものが多いのですが、僕らはこの条件を満たす定規として、「電車にのっても恥ずかしくない服」という定義に置き換えて判断したりします。

週末の日曜日の朝、品川の湾岸にあるカフェで溜まった仕事を片付けようと自転車で向かいました。到着し、店内を見ると非常に混み合っており、その中に、TOKYOWheels別注フルフェイスパーカーを着ているご夫婦がいらっしゃいました。色違いのペアルック。

違和感なくペアルックでこなし、お洒落カフェに溶け込んでいるお二人をみて、非常に嬉しく思いました。(思わず声をかけたくなりましたが、なんて声をかけていいか不明だったのでやめました。笑)

私たちは「自転車に乗ることができる服」を作っていますが、その機能を昇華させて、デザインにまで落とし込みたいと思っています。サイクルアパレルが普通の自転車に乗らないお洒落な人にまで着られるようになったら、その想いは遂げられる事になるのでしょう。

TOKYOlife全体としても、商品開発だけでなく、買い付けも全てそのポリシーで行なっています。単に機能が優れている、デザインが優れているモノは取り扱いしません。「そこにコトの提案はあるのか。」それを見極めるのが、僕らセレクトショップとしての役割だと思っています。

この記事を書いた人

モリ

波乗り+バスケ+自転車+バイク+ファッション+LOVE=LIFE  好奇心旺盛、なんでもやらないと気が済まない!!

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