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TOKYO WHEELS
2018.07.23 Mon
世の中には「大人の事情」という言葉がある。
自分にとって都合の悪いことを、曖昧にして誤魔化すことが出来る、まさに「魔法のような」言葉だ。
そんな「大人の事情」で、定価販売しなくなったシューズがある。
泣く子も黙る、軽量シューズの先駆けアイテムである【GIRO EMPIRE SLX】だ。
何故「大人の事情」でディスカウントしているか、は後述するとして、そもそもGIROのEMPIREシリーズは2012年のジロ・デ・イタリアでテイラーフィニーという選手が履いてレースにお目見えしたのが最初。
当時はとてつもなくセンセーショナルな登場だった。しかもその時彼がマリアローザ着用者ということもあり、履いていたカラーが「ブラック×ピンク」という某イギリスサイクルウェアブランドのコーポレートカラーとマッチングしていたがために、その系統のサイクリストに一気に支持されるに至った。
もちろん、それまでサイクルシューズと言えば「小学生が履くようなスニーカーのデザイン」みたいなものが主流で、お世辞にもカッコイイと言えるものはほとんど無かった、と記憶している。そんな中でEMPIREの登場、しかもシューレースというちょっとオールドスタイルがはまり、それまでBOAダイヤルやベルクロ・ラチェットが主流だったサイクルシューズ界に割って入り、今となってはサイクルシューズの代名詞的存在とまでなったのだ。
その後、EMPIRE ACCとEMPIRE SLXという2モデルが定番化し、昨年末にPROLIGHT TECHLACEというEMPIREの進化系シューズが登場した。
私も2016年の3月からEMPIRE SLXを使用し始め、すでに丸2年を過ぎた。
正直言って「もっと前、5~6年前から使っている気がする」そんな印象すら与えてくれるほど今の私にとっては欠かせない、馴染みのあるシューズになっている。
このシューズを私が選んだ理由は、主に3つ。「軽い」「硬い(剛性)」「カッコイイ」だ。
まず「軽さ」だが、これは持って驚く軽さというやつだ。一昔前、多くのサイクルギアは、軽さを求めるが故に剛性がスポイルされてしまい、不安を抱えることも多かった。しかし、昨今そんな杞憂は不要だ。
このEMPIRE SLXは42サイズで175g。手で持ち上げると、脳内の予想に反してシューズを持った手が上に上がってしまうほど、それほどに軽い。私はSPEEDPLAYを使っており、折角のシューズの軽さが台無しになってしまっているが、LOOKのKEOやSHIMANOのクリートであれば「クリート付きのシューズでこの軽さなのか!」と驚くに違いない。
次に、「硬い」だが、これもロードバイク乗りにとっては重要な要素だ。自転車は何故進むか、という根本的なことを考えるとよくわかる。自転車は、ペダルを踏みこむことでチェーンを介して後輪に力が伝わり、進む。その踏み込む力が「100」だとして、シューズのソールが上履きのようにペラペラのものだとおそらくペダルに伝わるちからは「20」程度になってしまうかもしれない。ソールが柔らかいと、せっかくの力が逃げてしまうのだ。裸足でペダルを踏むとして、ペダルと足の間にハムを挟むか下敷きを挟むか、と想像してもらうと分かりやすいか。
ソールの剛性が高く、硬ければ硬いほど力は逃げずにペダルに伝わり、推進力に進む。ロスなく力を伝えるというのが、効率よく自転車に乗るポイントなのだ。
そして、「カッコイイ」。もしかしたらこれが一番重要かもしれない。車でも自転車でも洋服でも、なんでもそうだが自分が「良い」と思ったものでないと、それを使い続けるモチベーションにつながらないことが多い。自転車乗るにも洋服着るにも「動機」が必要で、その動機が「カッコイイから」でいいじゃないか。ハッキリ言って、自分が「カッコイイ」と思っていない自転車には乗りたくない。
そんな、「軽くて」「剛性もあり」「カッコイイ」GIROを代表するシューズが、実は現在開催中のSUMMER SALEでお買い得になっているのをご存知だろうか?そう、これが「大人の事情」だ。
ブラック、そしてパープルという圧倒的に使いやすいカラーとファッションサイクリスト的に欠かせない2色が、なんとお買い得になっている。
ブラックは、私のEMPIREのようになることもない(汚れが目立たない)だろうし、パープルは実は入荷時点から欲しくて欲しくてたまらなかったのだが、今回こそ、このセールで売れ残ったら私が買おうと思っている。
これら2色のEMPIRE SLX、実は来年以降は取り扱い終了となってしまうカラーでいわゆる「廃番」というもの。だから今回、「大人の事情」でディスカウント対象となった、ということ。
私的にはかなりオススメだし、なんなら昨日のレース(甘利山戦国ヒルクライム)でEMPIRE SLXを履いている人を3名も見かけた。レース中に話しかけるわけにもいかないので、意味不明な行動(追い抜きざまに「いいね!」の意味も込めてサムアップ)をしてしまったのだが、今考えてみればたぶんそんな姿見られていないだろうし、見られていても挙動不審過ぎてちょっとやばい人だし、よく考えれば嫌な奴だよ、と思ってしまった。
ちなみに、自前のEMPIREを撮影していた時に気づいてしまった。
右足は比較的綺麗なのだが、
左足の劣化が激しい。たぶん、幅寄せとかに遭い縁石に擦ったりしたんだろう。
よくよく見れば、小さく穴が開き始めている・・・。買い替えと言う名の新規購入タイミングだろうか。。。
モガワ
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この記事を書いた人
自転車が好きすぎてTOKYO WHEELSで働き始めてしまった自転車バカ(坂バカ)。今ではお店に立つことはほとんどなくレアキャラ化しており、基本的には中の人として仕事に従事。様々なサイクルウェアブランドの仕入れを行い、実際に身に着けて走る中で、それぞれの良さを見つけ出し情報発信し続けていく。
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