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2019.01.12 Sat

TOKYO WHEELS Osaka

メリノウールは万能ではない

先日、また新たなメリノウールアイテムをオリジナルでリリースしました。

クルーネック
ヘンリーネック
モックネック
レギンス

国内初であるらしい、繊維にプロテインを潜り込ませた「プロテインウォッシャブルウール」を100%使用したリッチなシリーズです。
リンスした髪の毛よろしく、繊維の凸凹を補修・補強することでメリノの弱点「縮み」「ピリング」「ケバ立ち」等が起きにくくなった、画期的なメリノ素材です。

 

さて、元々は登山からブレイクしたこのメリノウールという素材。
自転車にも向いているとあって、7~8年前から徐々に業界に普及し今に至ります。

アウトドア系のキュレーションメディアやブログで「メリノスゲー!」「メリノ暖かい!」「メリノ神!」としきりにヨイショされてますが、本当にそうなのか?
そんなにスゴいのか?

新製品をリリースした今あえて、そのあたりに突っ込んでみたいと思います。

 

インナー素材をおさらいしてみる
ここで、インナーの素材としてメジャーな素材を4つ、おさらい的にまとめてみます。

・コットン

肌触り良好そして耐久性高め。反面、汗を貯めんで乾きも遅い。よってスポーツ向きでない。
最近はドライコットンだとか、汗の乾きが早いものも出てきてはいますが、だからと言ってスポーツする人はあえてコットンを選ばないよな~、と個人的には思います。

・レーヨンを多く含む発熱系素材

みなさんお馴染み、U社のバカ売れインナーをはじめとした、発熱系。レーヨンが入っているから暖かい。
この発熱系というヤツは、日常用としては素晴らしいと思うものの、吸水力・保水力が高すぎる&乾きが遅いためスポーツには向かないようです。
事実、汗冷えが酷いです。最近のヒー〇テックは乾きが早いようなことを聞くので、物は試しと昨年の暮れに丸1日汗まみれになりながら使ってみましたが、快適とは言えませんでした。実はちょっと期待してたのに。残念。

・その他の化学繊維

速乾性にすぐれたポリエステルがメインの物が大半ですが、素材のブレンドや編み方でずいぶんと性格に差が出ます。
スポーツブランドやアウトドアブランドが各社しのぎを削りながら開発を行っているグループです。
汗の処理能力ではトップですが、暖かさでは天然素材にやや劣る傾向にあるようです。

・メリノウール

スポーツウールとも呼ばれる、天然の速乾・保湿・防臭・保温性素材です。
繊維の表面がウロコ状になっていて、それが閉じたり開いたりしながら保温と保湿を勝手にやってくれます。
また、暖かさでは上記3つの素材を凌ぎ、汚れにも最も強い耐性を持ちます。
長い歴史の中で進化を遂げた動物の毛、おそるべしです。

 

私がメリノを着なくなった理由(※)
少し話がそれますが、私、冬はスノーボードばっかりしています。冬は完全に板>>>自転車です。
その季節にマッチしたアクティビティを楽しむのをモットーとしていますので、誰にも文句は言わせませぬ!

それはさておき、温暖な近畿のゲレンデをホームとしています。
シーズンはじめや終わりだけでなく、真冬でも滑っていると暑いなーと感じる日が結構あります。そんな時は、間違いなくロードに乗っているときよりも汗をかいています。

そして、すぐにリフトに乗る→冷たい風で一気に体温低下、という悪循環を日に何度も何度も経験します。
前乗りして極寒の中でナイターを滑り、次の日も朝から滑る、といったようなこともします。
だからインナーには人一倍こだわってきました。快適さの追求はもちろんながら、下手すると風邪をひくので。
多分、高機能インナーをとっかえひっかえした数では、社内の誰にも負けないと思います。

そんな中、昨シーズンから、私はゲレンデでメリノウールを着なくなりました。(※あくまでもスノボでだけ。

 

メリノウールは万能じゃない
メリノウールの良さは何と言っても、薄いのに暖かい事だと思います。
そして、液体(汗)を多量に留めないこと。湿気は吸いますが液体はあまり吸いません。

実際には、布として織り上げた時点で「毛細管現象」が働くので、水は吸い上げますが、それは繊維と繊維の間に留まっているだけなのですぐに乾きます。
繊維自体は「保水」をしないってことです。

特に、ジワリと定常的に汗をかくシーンでは、暖かさを「かなり」キープしたまま汗を遠ざけられるので、冬のスポーツには本当に理想的な素材だと思います。
そりゃ登山の定番にもなるよね~って思います。
自転車においても、一定のペースで楽しむロングライドなんかには特に向いていると思います。

ですが急激な発汗に弱いという弱点があります。
スプリントを掛けたり、グイグイ登ったり、汗が一気に噴き出すような乗り方をしていると、万能に思えたメリノの弱点が見え隠れするようになります。
単純に汗の処理が追いつかないんです。保温力の高さがかえって仇にもなります。コットンやレーヨン系発熱素材に比べればずいぶんとマシですが、飽和した水分でガッツリ蒸れます。
結果、汗冷えを招きます。ポリエステルでも入ってれば良いと思うんですけどね。

だから、私は自転車に乗る時には使い分けて来ました。ペースの上げ下げの少ない時は積極的にメリノを着て、ペダリングが激しくなりそうな時は別の物を着る、といったようにです。
スノボでメリノを着なくなったのはまったり滑ることがほぼなくなったからです。汗を常にかいているような状態なので、もっぱらポリエステルベースの化繊を愛用中です。

 

メリノの立ち位置が、なんとなく伝わったでしょうか?
どんなシーンでも万能な素材なんて、やっぱり無いのだと思います。

まとめますと

・自分のペースで楽しむ冬のシティライドやロングライドにはメリノって最高!
・ハードなライドスタイルには汗の処理に特化したこちらこちらがおすすめ

です。

適度な汗はすっきりと処理してくれる、しかも暖かさを保ち続けるメリノは、冬のインナーのトップランカーです。
ただし、汗を多量にかくようなシーンでは、ポリエステルベースの速乾系インナーがベター、そう捉えていただいて差し支えないと思います。

 

余談ですが、時々うかがう「メリノインナーに穴が開いた!」というお話。

それって、生地の劣化ではなく虫食いかもしれませんよー。
タンスの中で虫が食った小さい穴が、着ているうちに広がっちゃったりとか。よくあります。
私は、衣替えの時に圧縮袋で密封しちゃってます。こうしておけば虫にやられません。

 

(シゲマツ)

この記事を書いた人

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