
—— 日本人のための自転車バッグとは
京都のガレージブランド「HYNOW(ハイノウ)」の魅力に迫る。
2017年、京都は二条城の近くでガレージブランド「HYNOW(ハイノウ)」が産声を上げた。バイクカルチャーの本場アメリカ西海岸の影響を受け、利便性、耐久性、機能性を重視したバッグの製作を始める。
そして2019年には、数こそ少ないながらも量産体制が整い本格的にブランドとしての活動を始動。SNSを中心にインパクトある写真が話題を呼び、TOKYO WHEELSが全国で初となる取り扱いをスタート。
いま、最も注目度の高いジャパニーズバッグブランド「HYNOW(ハイノウ)」の魅力を、デザイナー“北村氏”にお伺いしました。

キタムラ ショウタ
/ HYNOW Designer
石川県出身。ファッションデザイナーを目指すべく京都へやってきたが、本場アメリカのメッセンジャー文化に触発されバッグ作りに没頭する。そして2017年、日本人に合うバッグをコンセプトに「HYNOW(ハイノウ)」を立ち上げた気鋭のデザイナー。

—— では先ずはじめに、バッグを作るに至ったキッカケを教えて下さい。
北村: 僕は何を隠そう「ミッションワークショップ」が大好きです。(笑)
—— あっ、もうそれ言っちゃうんですか?(笑) 実は私も初めて見たとき、どことなくミッションワークショップっぽいなと感じていました。
北村:そうでしょ、そうでしょ。僕は本当にミッションワークショップが好きで、初めて買ったバッグはシェドっていうメッセンジャーバッグでした。
ミッションワークショップが日本に上陸する前にサンフランシスコへ旅行に行ったことがあって、現地のピストライダーが背負ってるバッグが強烈に格好良かったんですよね。
で、早速調べて見たら現地に直営店があって・・・、初めは見るだけで買う気は無かったんですが、店員さんが魅力的でモノよりヒトに惹かれて購入しちゃいました。(笑)
—— そういった経験があって、自分でもバッグを作りたいという欲求が?
北村:まさしく。(笑) サンフランシスコから帰国した後は、京都にある自転車関係のアパレルショップで働いていたんですが、そこでも「クローム」や「インサイドラインエキップメント」といったブランドと出会ってしまって。
その日からバッグの研究に明け暮れました。
インタビュー序盤からバッグ作りにかける情熱を嬉しそうに、そしてアツくに語ってくれる北村さん。このあとHYNOW(ハイノウ)のコンセプトでもある「利便性・耐久性・機能性」について話してくれた。
—— つまりバッグに取り憑かれてしまったと。
北村:えぇ、そんな感じです。だって海外のバッグって、とにかく格好良いじゃないですか。
でも小柄な日本人にはバッグのサイズが大き過ぎるのが難点だなと。それに荷物をたくさん詰め込むと「もったり」してしまって、せっかくのシルエットが台無しになってしまうのもすごく勿体ない。
あと、余計なポケットも多過ぎですよね。治安の良い日本では、あそこまでのセキュリティポケットは不要だなと思ってました。
~ 容量よりもシルエットを重視 ~

—— いやぁ~、バッグに対して並々ならぬ情熱をお持ちですね。
北村:持ってますよ。(笑) 例えば一般的なバックパックって四角形なんですけど、HYNOW (ハイノウ)のバッグには「テーパー」をかけています。パンツと同じ、あのテーパードです。
少しだけバッグの容量は減ってしまうんですが、荷物をたくさん詰めた時でも格好良いシルエットを保てるようにしたかったんです。
—— おぉ〜!バッグの容量よりもシルエットを重視したと。
—— 北村: そうなんです。あと見た目の点でいうと、あえてサイドポケットも付けませんでした。
サイドポケットはペットボトルを入れるのに重宝するんですが、ペットボトルを挿すと一気に生活感が出ちゃいますよね、アレがすごく嫌なんです。
とっても美人なのに、バッグから長ねぎが飛び出していると残念になるあの気持ちと一緒です。(笑)
—— あるある。(笑)
女性が背負っても違和感のない、日本人の体格に合ったサイジング。そしてバックパックを背負った後ろ姿がスマートなのは、緩やかなテーパードが良い仕事をしているからだ。
北村:だから僕は、「バッグを背負う人自身もデザインしたい」と思っています。
と言うのも、僕はもともと格好良い洋服を作りたくて、生まれ育った石川県を飛び出して芸大のある京都に来たんです。だから、僕のベースにあるのは格好良いモノ作りなんですよ。
—— なるほど、もともとファッション寄りの方だったんですね。でも、そうじゃなきゃバッグをテーパードさせないかぁ。うん、なんか得心が行きました。
~ シンプルで直感的 ~

—— すこし話が変わりますが、実はHYNOW(ハイノウ)のバッグを初めて見たときに「これどう使うの?」って思ったんですよ。でも、触ってみるとかなり直感的ですよね。
北村:ありがとうございます。僕はマニュアルが嫌いでバッグも複雑なものは好きじゃないんです。だから使う人が触るだけで分かってくれるようなバッグを作りたかったんです。
—— うんうん。特にこの「CROW(クロウ)」はシンプルだし使い勝手が良さそう。
北村:そうなんです。CROW(クロウ)はビジネスシーンにも対応できるよう、シンプルかつ収納が得意なバッグにしました。
実際に僕も営業に行くときはCROW(クロウ)を使っているんですけど、例えば使用頻度の高い名刺入れやイヤホンなんかは、面テープで留まった両端のフラップポケットに入れています。慣れてくるとバッグを背負ったまま出し入れ出来ちゃいますよ。
—— さすが作り手。慣れてらっしゃる。
北村:あと細かいんですが、フラップを留めている面テープは海外ブランドのバッグに比べて半分ぐらいの幅にしています。だから、あの開けるときの「ベリベリッ!」って音も半分。
確かに面テープの幅が細いことが分かる。そして両側にあるフラップポケットの裏地には、防水性を高めるターポリンが貼ってあるようだ。手を入れやすいよう開口部がえぐれているのも、ユーザビリティを重視している証拠だろう。
—— ではこの流れでもう一つ聞かせてください。個人的に気になっているのが「ドロップポケット」なんですが、ここのポイントって何ですか?
北村:簡単に言うと、小物を取り出し易いことです。メインの荷室の中にドロップポケット用の部屋を用意していて、そこに鍵や小物を落とぜば前面のセンタージップから取り出せるようになっています。
バッグって小物でも何でも放り込みたくなりますけど、底の方に溜まってしまった小物をゴソゴソ漁っている様子はスマートじゃありませんからね。
—— 分かります!私もマンションの鍵をオートロックの前で探している時に他の住人が来たら、一歩横にスライドして白旗ポーズです(笑)
北村:それもあるあるですね。なので鍵や財布、PC周りのガジェット類はどんどんドロップボケットに放り込んで、必要な時にサッと取り出して欲しいと思っています。
メインコンパートメントを開けると、前面側にドロップポケット用のスペースがある。想像以上に投入口が広いから、狙いを定めなくても小物たちをドロップさせられそうだ。
~ 使い方は自由 ~
—— さて、続いてはこちらの「RIVER(リバー)」についてお聞きしたいと思います。先ほどのシンプル重視なCROW(クロウ)と比べると、ちょっとインパクトが強めですよね。
北村:そうですね。一応これでもシンプルにしたんですが、前面の「観音開き」が特徴的だからかもしれません。
見た目のデザイン性もそうですが、2本のベルトで荷物を括りつけることが出来るんですよ。その時にこの観音開きがフラップの役割を果たしてくれるんです。
—— じゃあ例えば、バッグには収まらないビーチパラソルをココに挿して海に出かけることも出来ちゃう?
北村:個人的には嫌いじゃないです。(笑) そういった意味では、釣り竿とかも大丈夫だと思います。
あとは脱いだアウター類を括りつけておけば、メインの荷室に干渉せずに荷物の出し入れが出来るようになるメリットもありますよ。
観音開きのフラップだけでなく底を支えるポケットも装備しているから、重たいものでも落下する心配はない。2本のベルトをキュッと絞ると安定性が増す仕組みだ。
—— なるほど!自転車乗りは特にアウターを脱ぐ機会が多いですし、後から嵩張る荷物をバッグに詰め込むと、もともと入っていた荷物が取り出しにくくなるんですよね。
北村:そうです。だからこれを使う人にはどんどん外側に荷物を括り付けて欲しいと思っています。
例えば、ショッピングの帰りに花束を買ってココに差しておけば、周りの人とハッピーな気分をシェアできますし、渡す時は180°ターンで照れ隠しにも。
—— 私もそれは個人的に嫌いじゃないです。(笑)
~ 日本が世界に誇る職人技 ~

—— あと、バッグをしっかりと研究されているだけあって、縫製がすごくキレイですよね。やっぱり日本で作っているんですか?
北村:そうです。コストは掛かってしまうんですが、修理対応なども考えて国内の熟練した職人さんにお願いをしています。
こんなことを僕が言うのもアレなんですが、製品が出来上がった時のクオリティが高すぎてビックリしました。
—— でもコストが掛かるという割には、ギリギリの価格を攻めていると思うのですが。
北村:えぇ。まだ立ち上がったばかりの小さいブランドですし、少量生産なのでコストは掛かっていますが、気に入った人に使って欲しいのでギリギリの価格設定にしました。
—— その思いはきっと届くと思います!ちなみに今後の展望って何かイメージされているんですか?
北村:もうちょっと軌道に乗ってきたら、あと3モデルぐらい増やせたらなと。すでに構想は持っています。
—— それは楽しみです。早く見たいですね。
~ 二輪好きだからわかるコト ~
—— 今さらなんですけど... 北村さんってバリバリの自転車乗りなんですよね?
北村:そうですよ!普段の街乗りはシングルスピードで、休みの日はマウンテンバイクに乗っています。あと、モーターサイクルも。
—— 二輪ばっかりですやん。
北村:ですね。父も母もモーターサイクル好きで、子供のころから二輪に囲まれて育ったんです。休みの日はモトクロスに連れていかれるので泥だらけの少年でした。
当時は泥だらけになるのが嫌で嫌で仕方がなかったんですが、今となっては僕も父と同様です。(笑)
—— バッグよりも先に、二輪に憑りつかれていたとは。じゃあ車には興味がないんですか?
北村:あまり興味はないですね。二輪以外の移動手段は電車やバスがほとんどです。僕がそういうライフスタイルなので、バッグもそれを想定して作っています。
—— なるほど!これは説得力がある。それにTOKYO WHEELSのお客さんも自転車や電車での移動が軸になっている方が多いので、きっと共感してくれると思います。
北村:そうだと嬉しいです!実は... HYNOW(ハイノウ)の卸先をリストアップした時、まず第一候補として紙に書いたのがTOKYO WHEELSさんでした!
—— 商売うまいな〜(笑) これは私たちもHYNOW(ハイノウ)の魅力をバンバン発信しなくてはいけませんね。

HYNOW | ハイノウ
"HYNOW" は日本語の"背嚢" に由来。"背嚢" = "ハイノウ" とはバックパックを指し、バイシクルカルチャーからインスピレーションを得て、利便性・機能性・耐久性を重視したバッグコレクションを展開する。
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