UPDATE:2018.11.21
大人ドレスな着こなし術 vol.5
スーツ好きは当然知っている、昨今のスーツ事情まとめ。

「大人ドレスな着こなし術」初心者にもわかりやすく、今のメンズドレスのトレンドとそのキーアイテムを紹介していこうという連載の第5回目です。
前回NEWS:「会議室でもできる男を演出するために。ジャージの洒脱感を利用せよ。」
今回は大人のユニフォームとも言えるスーツについてです。
スーツの最高峰はオーダーメイドだと思われがちですが、僕はいささかそれには疑問。ある日本人が自分の体型ピッタリに作ってもらったら、へんてこりんなスーツになっちゃった、という笑い話もあるように、体型ピッタリにスーツを作ったからと言ってスタイリッシュなスーツができるわけでもありませんし、腕の良い職人が必ずしも自分の趣向にあったスーツを作れるとは限りません。
体に合っていれば着心地は良いかもしれませんが、時代感を捉えたデザインやバランス(ラペル幅、ゴージ位置、生地、パンツの渡り、裾幅・・・)を提案できるとは限らないからです。それらのトレンドを完全に抑えて、全てを自分で指定できる人であればオーダーメイドという選択肢もありますが、そうでなければオーダーメイドは僕は勧めません。
スーツに限らず多少自分の体に合っていなくても、その方が格好良いってことありますよね。オーダーメイドに対して既成スーツは「吊るしのスーツ」なんて言われて揶揄されることもありますが、吊るしのスーツは僕らバイヤーがトレンドをキャッチして、それに見合うものをバイイングしているので外しはありません。そのスーツを着てみて徐々にお直ししていくのも良いと思います。
スーツには大きく(乱暴に)くくると三つぐらいの価格レンジがあります。最上位ランクはISAIA、Belvest、STILE LATINOあたりです。一番安いものでも軽く20万オーバー普通のビジネスマンにはなかなか手を出しづらい価格です。一番下位ランクはセレクトショップのオリジナルからスーツセレクトのようないわゆる量販店スーツ屋さんです。最近このあたりのクオリティも上がってきており、生地も有名生地屋のものなどを使っていたりしますが、どうしても価格を抑えるために無難な生地柄や誰にでも受け入れられやすいパターンというのが採用されており、お洒落に見せるのは難しいようです。(セレクトショップのオリジナルはピンからキリまであります。)
そして三つ目がJediaで取り扱っている10万円中盤のスーツ。この辺りをしっかりと提案できているブランドというもそれほど数が多いわけではなく、今のところ日本ではLARDINIとTAGLIATOREで人気を二分していてJediaの中でもほぼ同じような状況です。
というのが現在のスーツ市場の動向です。あとは細かな流行など実際の商品で見ていきましょう。
作りこまれたテーラードスーツ。
実はLARDINIには昨年から登場したパッカブルスーツというスーツ(後述)があります。これと通常のスーツがどう違うのかという質問が多いのですが、パッカブルの方はやはりイージーケア/イージーウェアの括りなので、スーツとしての完成度はテーラードスーツに軍配が上がります。
トレンドを抑えて芯地を極力使わない作りにはなっていますが、それでもやはり見た目の構築的な作りとエロい雰囲気はテーラードならでは。また生地もパッカブルと違いストレッチなどに拘る必要がないので、とことん色気にこだわった生地を作ることができます。
余談ですが、いまやイタリアを流通するハイエンドのスーツの半分以上がLARDINIの工場で作られているらしいです。(大手メゾンのものも含めて。)徐々に一強体制を確立しており、勢いは増すばかりです。それだけの数をこなしているからこそ生まれるセンスの良い生地やデザインなのですね。
と、そんな中で生まれたこちらの生地はなんとソラーロ(縦糸と横糸の分量を変えることで玉虫っぽい光沢感が生まれる)。
実はこのソラーロスーツはもう何年も続くLARDINIの定番生地なのですが、ずーっと売れています。遠目では普通にネイビースーツに見えますが、近くから見ると光の加減により輝くというモテ度高め、戦闘力超高めのスーツなのです。

通常のネイビースーツ同様のシーンで活用でき、それでいてモテ度高めと初心者には嬉しいソラ―ロスーツは1stチョイスとしてアリですね。
そしてお次はグレンチェックのストレッチスーツ。
メンズファッションの大きな流れとしてブリティッシュというキーワードが一昨年ぐらいからあり、この手のグレンチェックは旬なデザインです。

ただ、あまりにもチェックが目立つとスーツの場合は使いにくくなりますので、シャドーチェックのように見た目控えめなグレンチェックの生地をチョイスしています。しかもストレッチ素材で実はウールは44%しか入っていないのに、見た目は上質なウールに見えるというLARDINIならではの生地作りノウハウが反映されてます。
もう1ランクアップを狙うスーツ着用者におススメしたいスーツです。
そして最後のスーツがブラウンっぽいベージュのヘリンボーン柄にブルーのストライプが入るというLARDINIならではのセンスで作られたエクスクルーシブ生地のスーツ。
誰にでも受け入れられるというものではないかもしれませんが、意外や着てみるとその着回しの多さに驚くはず。
ワードローブの中にネイビーとグレーのスーツしかない方はぜひこちらを試してみてください。ストレッチ生地による着心地の良さも折り紙付きです。
上記テーラードスーツの3モデルのパンツはすべてワンプリーツ入りのモデル。今スーツはピタピタのパンツよりは、少し腰回りにゆとりがあるプリーツパンツへと回帰しています。かといって、クラシカルな膝下までストレートで太いシルエットというのは、若干コスプレ感が出てしまいますので、このパンツが絶妙なバランスを保ってくれていると思います。
着心地と見た目の高バランス。
そしてこちらが登場以来、大人気のパッカブルスーツです。ジャケットもイージー化の流れがすさまじく、アンコン・芯抜きは当然としてジャージ素材やニット素材のジャケットなども大流行。定番化してきています。その流れがスーツにもこないわけはなく、というところで、満を持して登場した感じです。
昨年登場して店頭にも並ぶ時間もわずかでした。パッカブルでストレッチという特徴を持つので、ジャケットもテーラードのものよりはかなり軽めの作りになっていますが、タイドアップでもさまになるのはお見事です。
ストレッチ生地のカルゼがほどよくカジュアルダウンした雰囲気で使いまわしが良くなりました。

そして同じくこちらがグレンチェックのパッカブルスーツ。
パッカブルスーツのジャケット仕様はテーラードスーツとは変えてあります。テーラードスーツは箱ポケットですが、こちらは2パッチポケットにしてカジュアル感を増し、パンツはノープリーツ仕様に。別々にも使いやすいようにJedia仕様を指定しています。
パンツ単品使いのコーディネート。
ポケッタブルシリーズはポケッタブルになるというだけでなくストレッチ性があり撥水性能も持っています。普段使いからトラベルまで、あらゆるシーンで使える最強のスーツです。
スーツの完成度はテーラードスーツが勝ちとは言ったものの、そこはLARDINIというテーラーが生み出すものですから、タイドアップで使っても、そんじょそこらのスーツには負けないクオリティとして完成されています。
ちなみにテーラードスーツのグレンチェックとポケッタブルのグレンチェックの色味の違いがわかりにくいので、ちょっとスタジオの片隅で撮影してきましたので、ご参考まで。

上がテーラードのグレンチェック、下がパッカブル―のグレンチェックでどちらもネイビーです。テーラードの方がトーンが同じ、シャドーグレンチェックになっているのがわかるでしょうか。何気にブートニエールも違っていて、パッカブルの方はゴムっぽい素材でできてます。神は細部に宿る、ですね。

ついでにパッカブルのチャコールとネイビーの比較画像も。商品ページだと違いが分かりにくいですが、並べて光が当たると明確にグレー系、ネイビー系と分かれていますよね。
もう一つの雄、ピーノさんのブランドから。
TAGLIATORE(タリアトーレ)のスーツはLARDINIのものよりもウエストのシェイプがきついとされています。
どちらも甲乙つけがたいので、もはや好みの問題でしょう。僕はあまり体格が良い方ではないのでLARDINIの方が肩回りの収まりがしっくり来ている気がします。
TAGLIATOREのジャケットは2ボタンでの提案です。以前までは3ボタン一択だったのですが、最近はこのようにブランドによっては2ボタンでの提案も増えてきました。ただ、昔のように2ボタンでVゾーンが大きい感じではなく、あくまでも3つボタンとVゾーンの開きは同じ程度で2つボタン設定、という感じです。ちなみに3つボタンジャケットで前を締める場合は、真ん中の1つだけにしておきましょう。たまに3つ締めている人がいますが、それはNGです。また昔は上2つを締めるというのが正式な締め方だ、という時代もありましたが、今は真ん中1つというのが一般的です。
そしてもっとファンシーなTAGLIATOREらしいのがこちら。
今までご紹介した中で最も上級者向けの生地ですが、あっという間に完売間近になってしまったスーツです。
今回はこんな感じで終了です!
まだまだシャツの着こなしやネクタイやチーフのトレンド、スーツのお直し方法など買いたいことが山ほどあるのですが、あまりにも長くなってるので、サブコラムとしてモリBLOGなどで書いていきたいと思います。良ければ、こちら(minmori@twitter)をフォローしてお待ちください。またInstagram(Minor5)もやってますので、こちらも是非お願いします。
過去ARCHIVE
<大人ドレスな着こなし術 一覧>
第一回 秋から始める大人ドレスの着こなし術
第二回 初心者でも簡単。基礎から学ぶ大人ドレスの作法とは。
第三回 大人気企画第3弾!初心者でも玄人に見えるドレスラを探せ。
第四回 会議室でもできる男を演出するために。ジャージの洒脱感を利用せよ。
<サブコラム>
・手を抜いてはいけない靴下のお話。
・分かっているようでわかっていない。パンツの裾はどう直すのが良いの?
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Edit By Minoru Mori
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